ふじメディカル指導監督医Dr.駒井の、あったかい心温まるブログです。
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両刃の剣
 

両刃の剣

 

洋の東西を問わず、古今を問わず、酒は私達の社会生活には欠くことのできない市民権を得ています。

 

酒は古来から、お神酒として神への供物でありました。酒に託して神の加護を受ける、酒をくみかわして人が神とお近くで語り合うという古代人の習しは、百メートルの海底下に五十数キロメートルのトンネルを掘り、列車を走らせる現代に至っても、いろいろな形で延々と受けつがれています。

冠婚葬祭はもとより、ちょっとした年中行事にも酒は隠れた主役であります。

 

我々の生活の中に、とっぷりと溶けこんでいる酒。祝い酒として万人を和合させ、

やけ酒として憂いを払う。はたまたわれわれは花見酒、紅葉酒、雪見酒などの風流を愛しています。
そして百薬の長。

 

この美味なるものがまかりまちがうと牙をむき出す、両刃の剣であることは

衆知のことです。

K氏は、りっぱな体格に似合わず、小さな声で静かな話し方をする人でした。

細かいことによく気づき、腰低く、時折り口の端に出てくる妻君への心配りからは、仲のよい夫婦、
幸せな家庭が想像できたのです。


ある時、妻君が私を頼って訪ねてみえました。夫が酒を飲んで暴れる、助けてほしい

という意外な話の内容でした。妻君のいうのには、夫は以前から酒好きで、毎晩、晩酌を欠かしたことがない、普段はおとなしい気持ちのやさしい人だけど、
飲むと怒りっぼくなるので余り
逆らわないようにして来た。

それでも仕事だけは休んだことがなかった。定年退職したころから、眠れないといっては、夜中にも起き出して飲み始めるようになった。

最近では飲むと暴れ出し、物を投げる、お膳はひっくり返えす、止めようとすると、私の髪をつかんで引きずり回わす、まるで別人のようになってしまう…:と妻君は震えていました。

 

 K氏は専門の医療機関で治療を受けることになりましたが、退院するとまた飲み始め、入退院をくり返えし、最近は肝臓も弱って来ており、仕事もしていないそうです。

 

「お父さんのお陰で子供達を一人前に育てられたんだから。」「こんな気の小さい人、見離せません。」と妻君は自分に言いきかせるように話していました。

 

ずいぶん老けたなあと妻君の顔をみながら私は、仕事好きだったK氏に、あの親しみ

深い笑顔が戻ってくることを祈らずにはいられませんでした。

    
           

 

| 16:12 | 診療室の窓から | comments(2) | trackbacks(0) |
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