ふじメディカル指導監督医Dr.駒井の、あったかい心温まるブログです。
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最後の一葉
 
日ごろの生活の中で、何気ない一言が思いもかけず相手をひどく傷つけてしまったという
事、またちょっとした一言で勇気を取り戻したという事の体験はだれにもあるだろうと思います。

まして病める人たちには、たったの一言が時には妙薬になり、時には鋭い刃物にもなるのだという事を私は時折経験します。
夏のイラスト

七十を少し過ぎた痩せた女の患者さんが、病室の窓際のベッドに入院していました。

夫に先立たれ、実子もいないというう事で、入院しても訪ねてくる人とて少なかったようでしたが、話し方ももの静かであまり目立たない人でした。

病状が悪化し、高熱におかされ始め、治療を重ねてもなかなかよくなりませんでした。

高齢のこの患者さんには、いく日もつづくこの熱がよほどこたえたのでしょう。

食欲も次第になくなり段々に弱ってきました。ところがあるころより熱が下がり始め、同時に食欲もすすむようになり、少しづつ元気を取り戻してきたのです。

その患者さんの病状が回復した頃、私にしみじみと話をしてくれたことがあります。

「熱がつづいていた頃、本当に苦しかったんです。私が元気になったところで喜んでくれる身内もなく、こんなに苦しむならいっそ早く楽になりたいと思いまして見回りに来てくれた看護婦さんにそういってしまいました。

するとその看護婦さんが,『〇〇さん、先生も看護婦もみんな、あなたの熱が下がるように、一生懸命がんばっているんです。〇〇さんが元気になってくれたらうれしいのは私です。』こう言ってくれたんです。

その時、初めて、ああ、がんばらなければ・・・・・とおもいました。

そうしたら、段々熱が、下がって来たんです。

あの看護婦さんの一言が私を助けてくれました。」
七夕・天の川のイラスト
治療の効果が時を同じにして出て来た、という解釈も医学上は成り立つでしょうが、目に見えない精神力、「治りたい」という患者の気力の重さを見逃すわけにはいきません。

O・ヘンリーというアメリカの作家の短編小説「最後の一葉」という中に、病人のそんな心理が描かれています。

その後、その患者さんは、「良くなってみれば命はやはり惜しい。」と笑っていました。
| 11:17 | 診療室の窓から | comments(0) | trackbacks(0) |
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